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審査講評

　本作品は、1962年に完成したホテルオークラの地において、「The Okura Tokyo」として新たに船出したホテルの宴会場である。かつての建築物・インテリアは、幾多の外国人・邦人ゲストに対し、「和のおもてなし」を提供した舞台であった。
　受賞者は、こうした遺伝子をもつ新たなホテルの新築に当たって、かつてのゲスト、施主、さらには社会の記憶の延長線上に、新たな息吹を吹き込むというインテリア設計に対する期待を受け、「伝統と革新」をテーマとして、見事に応えたと言える。
　「平安の間」においては、格天井から光を注がせつつ装飾壁画の優美な設えを施すとともに、共用スペースの天井には、初代のからの「亀甲紋」・「切子玉形」を配置し、各部のディテールへの気配りを実践するなどを含め、ゲストの「ハレの時間」を包み込むに相応しい空間へと昇華させている。
　このような秀逸な作品は、今後インテリアプランナーを目指す方々への明確な道標となりうるものと思料する。