 |
橋本夕紀夫賞
作品名称：『晴海グランドホテル レストラン改修』
応募登録者名：藤井 誠
応募カテゴリー：商業施設
審査講評（橋本夕紀夫）
建築やインテリアを布を用いて変容させる試みは今迄にもいくつかなされてきた。規模は大きいが、クリストが建造物や島を丸ごと布でくるんでしまうようなプロジェクトや、境沢孝が家具やテーブル等をすべて布でくるんで作った商業スペース等いろいろな事例がある。
ただそれらの共通点は、布を用いることによってそれまで見慣れてきた環境を抽象化して非日常をつくりだすという、コンセプチュアルな考え方によるものであった。
しかし、この「服を纏う」というタイトルのHARUMI GRAND HOTELの空間は、手法的にはそれらと共通点もあるが、実際に出来上がったものを見るとそれらとは一線を画すものになっている。
一つには日常的な雰囲気があるという事と、ファッション的なアプローチがなされているという事である。正に布ではなくて、服を纏うというタイトルがそのことを示している。
ここでの最大の特徴は、この布のテクスチャーと柄である。服のようにデザインが施された布を使うことによって人間的で温かみのある環境を作り出すことに成功している。
2年後に行われる予定の耐震改修工事までのテンポラリーな空間であるということだが、改修後も充分通用するコンセプトであると思う。
